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同じ5時間を3つの文字起こしで比べた|PLAUD・Notta・NotebookLMの精度と限界
目次
同じ5時間の録音を、3つの文字起こしに同時にかけたら、出力はどこまで揃うのか。私は手元の同一音源を、PLAUD純正・Notta純正・NotebookLMの3経路に通して、一行ずつ突き合わせてみました。
先に、5時間を突き合わせて分かったことです。
- マイクに近いクリアな声なら、PLAUD・Notta・NotebookLMの3者はほぼ一致
- 差が開くのは、複数人の雑談・距離のある声・スピーカー越しの音といった「難所」だけ
- その難所で最も文意を保ったのは、価格が上のPLAUDではなくNotta純正
- ただし3者に極端な精度差はなく、致命的に使えないものはなかった
価格が上でも、精度が上とは限らない。だから選ぶ基準は「どの場面で使うか」です。使い分けの答えを先に挙げると、こうなります。
- 複数人の会議を「誰の発言か」込みで追いたい → Notta 公式サイト
- 長時間をノンストップで録りたい・安定重視 → PLAUD 公式ストア
- 無料で、工夫しながら回したい → NotebookLM 公式サイト
くわしい理由と判定は7. 結局どれを選ぶ?(用途で決める)へ。ここからは、その根拠になった実際の出力を順に見ていきます。

- 同一の約5時間実録音源
- PLAUD純正の文字起こし
- Notta純正の文字起こし
- NotebookLM(PLAUDの音源を投入)
まず、この突き合わせをどう行ったかから説明します。
筆 モジオコLab 編集部 / 筆者
音声入力や文字起こしAI、そして文字起こしを要約してくれるAIを使い倒したら、日々の業務がめっちゃ楽になった人間です。 その手応えから、実際に自腹でいろんなデバイスを使い始めています。 音声入力は Aqua Voice を日常的に愛用し、議事録要約の NotebookLM は仕事でもプライベートでも1年以上活用中。 個人情報を扱う仕事柄、セキュリティや運営元の素性は人一倍シビアにチェックします。
1. 検証のやり方(と、正直な但し書き)
やったことは単純です。同一の録音音源を3経路に通し、区間ごとに出力を並べて、どれが元発言の文意を保ったかを人の目で確認しただけ。録音は複数人の会話・電話・スピーカー音声が入り混じる実環境で、静かなスタジオではありません。だからこそ、実際の使用に近い荒さで比べられます。
比較の軸は2つ。ひとつは同一音源を別エンジンにかける軸(PLAUD純正 vs NotebookLM)。もうひとつは、別々のデバイスにそれぞれの純正をかける軸(PLAUD純正 vs Notta純正)。前者は純粋なエンジン差、後者は「買ったらこう出てくる」という体験差です。
2. まず結論:クリアな声なら、どれでもほぼ一致する
差の話をする前に、揃う場面を見せます。買う前に一番気になるのは「安い方だと普段の録音でも精度が落ちるのか」でしょう。その不安を先にほどきます。
パソコンへの音声指示を拾った一文。マイクに近い、単独の落ち着いた発話です。
- PLAUD純正:これか軸を反転させるとその下の表の並び順も変わってしまう
- Notta純正:軸を反転させると、その下の表、表の並び順も変わってしまう
- NotebookLM:軸 を 反転 さ せる と その 下 の 表 の 並び順 も 変わっ て しまう
NotebookLMは単語ごとに分かち書きされていますが、文意は3者とも完全に一致。読点や言い直しの拾い方に差はあれ、内容は同じです。こういうクリアな単独発話では、3経路のどれを選んでも普段の録音で困る差は出ませんでした。
つまり、日常のメモや静かな打ち合わせが主戦場なら、精度で悩む必要はほぼありません。差が問題になるのは、この次に見る「難所」だけです。
3. 差が出るのは”難所”:崩れ方はエンジンで違う

難所に入ると景色が変わります。しかも面白いのは、3者が同じように崩れるのではなく、それぞれ別の方向へ崩れること。
まず主役の例。パソコンの表を操作しながらの音声指示で、数字を読み上げた場面です。元発言は「上から25、24、23で…23から下がってくる」。
- PLAUD純正:25、24、23/23から(正確)
- Notta純正:29、24、23/23から
- NotebookLM:25、2423/203から
同じ一つの音が、エンジンごとに別の数字に化けています。PLAUDは正確、Nottaは先頭を「29」に、NotebookLMは「203」という存在しない数字に。数字は前後の意味から補正が効きにくいぶん、こうして生の化けがそのまま残ります。
もうひとつ、固有名詞の保持力。「VLCでプレイリストは保存できませんか」という一文。
- PLAUD純正:VLCでプレイリストは保存できませんか
- Notta純正:え、どう?VLCでプレイリストは保存できませんか?
- NotebookLM:VC で プレイリスト は 保存 でき ませ ん か
「VLC」というソフト名を、NotebookLMだけ「VC」と1文字落としました。純正2者は固有名詞を正しく保持。細かい差ですが、固有名詞が要の録音では効いてきます。
難所では、3者が互いに別方向に崩れる。だから「このエンジンが常に上」とは言えない。これが、実際の出力を並べて分かったことです。
4. 同じ音源でも、エンジンで精度は変わる(軸A:純正 vs NotebookLM)
ここからは軸を分けます。まず同一音源を別エンジンにかけた軸A。デバイス差を消して、純粋にエンジンだけを比べた結果です。
これは明確でした。同じPLAUDの音源を通すと、PLAUD純正がNotebookLMに一貫して勝ちます。NotebookLMは会話区間ですら分かち書きに退行し、雑音が乗ると欠落が深刻。5時間クラスの実録をそのまま読ませる用途には力不足でした。
ただし全敗ではありません。スピーカーで再生した健康系動画のナレーションで、ある専門語を唯一正しく取ったのはNotebookLMだけ、という逆転もありました。純正2者はその語を別の語に化けさせています。汎用エンジンにも、純正を上回る場面が残っています。
それでも全体としては、録音デバイスの純正文字起こしには、汎用エンジンに投げるより素性の良さがありました。学びを一言でまとめるなら、こうです。
生の文字起こしの質だけを見るなら、無料の汎用エンジンより、デバイス純正の方が土台がしっかりしている。
5. デバイス純正同士だと?(軸B:PLAUD純正 vs Notta純正)

次に、別デバイスの純正同士。「買ったらこう出てくる」という体験の比較です。価格が上のPLAUDがそのまま勝つのか。ここが今回の見どころです。
今回の5時間で文意を保ちやすかったのは、Notta純正でした。スピーカーで再生した動画の定型文で差が並びます。元は「起きた時、昼食後、寝る前の3回、コップ一杯の水」。
- PLAUD純正:「3回」を「3回は味なのか」と崩す
- Notta純正:「昼食後」を「給食後」に取り違え
- NotebookLM:「3回」を「3階」に
3者とも少しずつ崩していますが、文の骨格が最も残ったのはNotta。早口の発声フレーズ(動画内の言い回し)でも、Nottaが3回とも文として拾い切った場面がありました。採録量そのものもNottaが最多で、PLAUDが「ブロックごとまるごと拾い落とす」区間を、Nottaは会話ごと拾っています。
ここで終われば「Nottaの勝ち」ですが、そう単純ではありません。
大事なのは、これが「本当に同じ音声が繰り返し流れていた」のではないこと。同じ一文の繰り返しは、Nottaのエンジンが生んだ幻(ハルシネーション)でした。私が検証した根拠は4つあります。
- 反復した文が一字一句まったく同一。本物の繰り返し再生なら、聞き取り誤りが毎回わずかに変わるはず
- 元はテレビの天気予報と中継。一度きりの発話で、同じ文を数十回言う性質のものではない
- 同時に録った同一音源のPLAUDは、同区間で毎回違う文を出力し、反復ゼロ。音源側でなくエンジン側の問題
- 反復の途中で突然まったく別の内容に切り替わる。文字起こしエンジンが暴走から抜け出すときの典型パターン
だから、実際に繰り返し再生していた音声(別の場面で流れていた動画など)をNottaが何度も拾ったのとは、性質がまったく違います。前者はエンジンの暴走、後者は忠実な採録。混同しないでください。
一方のPLAUDは暴走しません。代わりに、拾えない区間をブロックごと空白でスキップする傾向があります。取りこぼしはあっても、ありもしない文を大量生成することはない。ここは安定感として効いてきます。
まとめると、Nottaのエンジンが上、と断定はできません。あくまで純正セット同士の体験差であり、Nottaの「よく拾うが稀に暴走する」と、PLAUDの「拾い落とすが暴走しない」は、トレードオフの関係です。
6. 話者分離という別軸の価値(Notta)
精度とは別の軸で、Nottaにひとつ武器があります。話者分離です。5時間ログを自動で「話者1〜4」に段落分割してくれる。PLAUDは基本、一続きのテキストです。
ただし、その分離をそのまま信じてはいけません。実際の登場人物は延べ10人を超えていましたが、Nottaはこれを4ラベルに丸めました。別人の声が同じラベルに集約されたり、スピーカーで再生した動画の音声まで「話者」として扱われて複数ラベルに割れたり。つまり「誰が言ったか」の証拠には使えません。
それでも価値はあります。5時間ぶんが一続きのベタ書きだと、後から目的の発言を探すのは苦行。話者ラベルとタイムスタンプで段落に切れているだけで、見通しは劇的に良くなります。人数が多い場では割れる前提で、「段落整理の道具」として使うのが実態に合います。
複数人の会議を後から追う用途なら、この可読性は決め手になり得ます(→ 複数人の会議・インタビューの文字起こし)。
7. 結局どれを選ぶ?(用途で決める)
「結局、どれを買えばいいのか」。一番知りたいのはここだと思います。ただ、これまで見てきた通り、精度のトップは場面ごとに入れ替わります。どんな状況でも一番という万能の一台はありません。だから選ぶ基準は、性能の順位ではなく「あなたが何に使うか」です。
複数人の会議を”誰が”込みで段落で追いたいなら、Notta。話者分離の可読性が効きます。暴走は稀ですが起きる前提で、要約の前に一度は元テキストに目を通してください。
長時間ノンストップで録りたい・安定重視・暴走が怖いなら、PLAUD。自動でファイルが分割され、ありもしない文を生成しません。拾い落としは後段の要約でカバーできます。
工夫できる人・無料で回したいなら、NotebookLM。ただし生の文字起こしの精度は純正2者に劣ります。無料でどこまでやれるかは文字起こし・要約は無料でどこまで?、議事録用途の使い方はNotebookLMで議事録を作るをどうぞ。
そして、どれを選んでも共通の大原則がひとつ。要約や配布の前に、人が一度だけ元テキストを読む。特に数字と固有名詞は元音声で最終確認。今回の突き合わせが証明したのは、流暢に読める文章ほど、化けが隠れやすいという事実でした。道具選び全体の整理はAI文字起こし・録音AIの全体マップ、録音品質そのものの比較は第1弾のPLAUD vs Notta録音比較、要約段階の比較は純正AI要約 vs NotebookLMへ。
まとめ
- クリアな声なら3経路はほぼ一致。普段の録音で精度に悩む差は出ない
- 難所では3者が別方向に崩れ、優劣は一律でない。高い方が精度も上とは限らなかった
- Nottaはよく拾うが稀に繰り返し暴走、PLAUDは拾い落とすが暴走しない=トレードオフ
- 純正の生テキストは「要約前に人が一度読む」前提でこそ使える。数字と固有名詞は元音声で確認
よくある質問
一番精度が高い文字起こしはどれ?
場面によります。マイクに近いクリアな声なら、PLAUD・Notta・NotebookLMの3者にほとんど差は出ません。差が開くのは複数人の雑談・距離のある声・スピーカー越しの音といった難所で、そこでは3者が互いに別の方向へ崩れます。一律にどれが上、とは言えないのが実測の結論です。
NotebookLMの無料文字起こしで足りる?
生テキストの正確さは、録音デバイスの純正文字起こしに劣りました。同じ音源で比べると分かち書きへの退行や欠落が目立ちます。工夫して使える人・無料で回したい人には選択肢ですが、5時間クラスの実録をそのまま読ませる用途には力不足でした。
純正の文字起こしはそのまま議事録に使える?
要約や配布の前に、人が一度だけ元テキストを読む前提でこそ使えます。特に数字と固有名詞は元音声で最終確認してください。流暢に読める文章でも、中身が化けていることがあります。