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録音デバイスから伸びた音声の波がスマートフォンには届いている一方、そこから雲(クラウド)へ向かう線は途中で破線になって途切れ、雲に届いていないイラスト

AI ICレコーダーはオフラインで使える?PLAUDとNotta Memoを機内モードにして試した

公開: 2026年7月17日

目次
  1. 1. 電波を切るとどこで止まるのか
  2. 2. 実際に機内モードにして試した
  3. 3. 運べるのに文字にならない
  4. 4. 文字にしているのは、手元だけではない
  5. 5. 「AI搭載」には2種類ある
  6. 6. 昔のICレコーダーの「文字起こし」の正体
  7. 7. オフラインで困る人と困らない人
  8. まとめ

今回試したAIレコーダーは、電波がなくても録音できます。ただし、その録音はその場で文字になりません。

機内モードにしたPLAUD Noteは、いつも通り録音を続けました。音声はBluetoothでスマホにも届きました。それでも文字起こしだけは動かず、画面には0文字と表示されたままでした。

録れるのに、文字にならない。この境界線で、文字起こしの処理がどこまで手元で完結するのかが見えます。実際に電波を全部切って、PLAUD NoteとNotta Memoの両方で確かめました。

この記事で使うもの
  1. PLAUD Note(実機)
  2. Notta Memo(実機)
  3. iPhoneのボイスメモ(比べるため)
  4. iPhoneの機内モード

電波を切って、録音して、転送して、文字にしようとする。その順番でたどります。

モジオコLab 編集部 / 筆者

音声入力や文字起こしAI、そして文字起こしを要約してくれるAIを使い倒したら、日々の業務がめっちゃ楽になった人間です。 その手応えから、実際に自腹でいろんなデバイスを使い始めています。 音声入力は Aqua Voice を日常的に愛用し、議事録要約の NotebookLM は仕事でもプライベートでも1年以上活用中。 個人情報を扱う仕事柄、セキュリティや運営元の素性は人一倍シビアにチェックします。

1. 電波を切るとどこで止まるのか

「オフラインで使えますか?」——この質問には、はい・いいえで答えられません。AIレコーダーの仕事は3つの段階に分かれていて、止まるのはそのうち1つだけだからです。

電波を切ったときにどこで止まるかの図。①録音するはAIレコーダー本体の仕事で電波ゼロでも録れた。②スマホへ送るはBluetoothで実測37.74KB/Sで転送でき、ネットは不要。③文字にするはクラウドのAIの仕事で、インターネットがここで切れるため0文字のまま止まる
止まったのは3つ目だけ。録音も転送も電波なしでできた
やることPLAUD NoteNotta MemoiPhoneのボイスメモ
録音するできるできるできる
スマホへ送るできるできる——(本体がない)
文字にするできないできないできる

同じ「文字起こしができる機械」でも、電波を切ると差が出ます。録音は手元の仕事、文字起こしはネットワークの先のサービスにつなぐ仕事。 その線引きが、電波を切った瞬間に見えます。

電波の届かない場所へ行く予定があるなら、録音ボタンだけは安心して押せます。

2. 実際に機内モードにして試した

本当に録れるのか。iPhoneの電波を全部切って確かめました。

検証条件

電波だけを切った状態を作る

インターネットは完全にオフ。それでも本体とスマホの近距離通信だけは残した状態です。

iPhoneのコントロールセンター。機内モードがオレンジで点灯し、Wi-Fiは赤い斜線でオフ、Bluetoothだけが白く点灯している
機内モードをオン、Wi-Fiもオフ。Bluetoothだけを手動でオンに戻した状態

この状態で、PLAUD NoteとNotta Memoを同時に録音しました。どちらも普通に録音できます。本体のランプが点いて、いつも通りに動きました。

机の上に並べたNotta Memo(左・青いランプが点灯)とPLAUD Note(右・ケースに入り赤いランプが点灯)。どちらも録音中
実機で確認:電波ゼロでも、本体は何事もなく録音を続けた

録音を止めてPLAUDアプリを開くと、機内マークが出たまま転送が始まりました。

PLAUD Note

機内モードのまま転送は進む

録音ファイルをスマホへ運ぶところまでは、インターネットを通りません。

PLAUDアプリの画面。上部に機内モードのマークが出たまま「Plaud Noteから録音ファイルを転送中…(1/2)」と表示され、転送速度が37.74KB/Sと出ている
機内マークが出たまま、毎秒37.74KBで転送が進む

Notta Memoも同じでした。「オフラインです。ネットワークを確認してください。」という赤いバナーを出しながら、その下では転送のカウントダウンが進んでいます。

Notta Memo

「オフライン」と表示しながら転送中

警告はクラウド接続がないこと。Bluetoothによる転送まで止まったわけではありません。

Nottaアプリの画面。上部に機内モードのマークと「オフラインです。ネットワークを確認してください。」の赤いバナーが出ているが、その下では「Notta Memoから転送中」「0/1・残り26秒」と表示され転送が進行している
「オフラインです」と言いながら、転送だけは進んでいく

ここまでは全部できました。問題はこの先です。

3. 運べるのに文字にならない

音声はもうスマホの中にあります。それなのに、文字が1文字も出てきません。

Notta Memo

音声はあるのに、文字は0のまま

スマホに音声が届いた後、文字起こしを始める段階で止まります。

Nottaアプリのファイル詳細画面。機内モードのマークと「オフラインです」のバナーが出たまま、録音時間03:39に対して文字数が0文字と表示され、下部に「アップロード中… 0%」と出ている。編集・AI要約・翻訳・コピーのボタンはすべてグレーアウト
3分39秒の音声がある。表示は0文字。アップロードは0%から動かない

3分39秒の音声があるのに、0文字。 編集もAI要約も翻訳も、ボタンは全部グレーアウトしています。

PLAUDも同じところで止まりました。ファイル一覧は「同期を待機中…」のまま進みません。

PLAUD Note

止まるのは、その先の「同期」

ファイルをクラウドへ渡せないため、文字起こしと要約の待機状態が続きます。

PLAUDアプリのファイル一覧。機内モードのマークが出ており、録音ファイルがどれも「同期を待機中…」と表示されたまま止まっている
転送は終わっている。その先の「同期」で止まる

要約を実行してみると、エラーが返ってきます。

▶ 動画
要約を押すと「携帯のネットワーク接続が不安定です。ネットワークを確認して、もう一度お試しください。」と返ってくる

では、電波を戻すとどうなるか。機内モードを解除した瞬間、PLAUDは動き出しました。

ネットにつながった直後のPLAUDアプリ。機内モードのマークが消えて電波とWi-Fiのアイコンが表示され、画面には「生成中…」と出ている
電波が戻った瞬間に処理を開始
PLAUDアプリの要約画面。「07-17 ICレコーダーのオフライン機能検証:録音とBluetoothデータ転送の技術的限界を探る」というタイトルと要約本文が生成されている
約1分後、要約まで完成

止めていたのは5時11分。要約ができていたのは5時12分。違いは電波だけです。 同じ音声が、電波が戻った途端に文字になりました。

電波の無い場所で録っても、後で戻せば文字になります。溜めておいて大丈夫です。

4. 文字にしているのは、手元だけではない

なぜ、手元に音声があるのに文字にできないのか。

この検証で確認できたのは、PLAUD NoteとNotta Memoの文字起こし・要約は、本体だけでは完結しないことです。本体は録音し、Bluetoothでスマホまで音声を渡せます。その先の文字起こし・要約には、アプリがインターネットの先にあるサービスへつながる必要があります。だから電波を切ると、音声がスマホまで来ていても、そこから先へ進めません。

それを裏づける機能が、PLAUD自身にあります。PLAUDのWeb版には、外部の音声ファイルを取り込む機能があります。つまり——

PLAUD本体を引き出しにしまったままでも、他の機械で録った音声をPLAUDのサービスで文字起こしできます。つまりPLAUDでは、本体がなくても文字起こしの機能を使えます。この検証結果と合わせると、少なくとも文字起こし・要約は本体内だけで動く機能ではない、と分かります。

同じことを、iPhoneのボイスメモと比べると分かりやすくなります。

▶ 動画
同じ機内モードのまま。iPhoneのボイスメモは、電波がなくても文字起こしを表示した

機内マークが出たままなのに、文字が出ています。このiPhoneでは本体内で処理が完結していることを、挙動として確認できました。同じ「文字起こし」という言葉でも、仕事をしている場所が違います。

5. 「AI搭載」には2種類ある

では「AI搭載」と書いてある製品は、全部インターネット頼みなのか。——いいえ。本体の中だけで文字にする機種も実在します。

「AI搭載」の2種類を比べた図。クラウド型はAIの居場所がネットの向こうで、オフラインでは録音だけ。PLAUD Note、Notta Memo、HiDock P1などが該当し、売れ筋のほぼ全部がこちら。本体型はAIの居場所が手の中で、電波がなくてもその場で文字にできる。iFLYTEK VOITER SR302 Proなどが該当し、選べる機種は少なく買い切りで高め
同じ「AI搭載」でも、AIが働く場所が違う

iFLYTEKのVOITER SR302 Proは、公式が「デバイス内で文字起こしが完結するため、外部へのデータ送信のリスクがなく」と明記しています。買い切りで約37,950円。月額はありません。

ただし、こうした本体処理型は選べる機種が限られます。店頭や比較記事で目にするAIレコーダーの多くは、クラウド連携型です。カタログの「AI搭載」という言葉は、本体だけで文字起こしまで完結することを意味するとは限りません。

6. 昔のICレコーダーの「文字起こし」の正体

私が昔使っていたICレコーダーにも、「文字起こし」と書かれたモードがありました。USBでパソコンに挿して、音声ファイルを吸い出して使う、あのタイプです。

あれは何だったのか。答えは、再生速度の機能です。テキストは1文字も出ません。

  • SONYの「書き起こし用再生」=早送り・早戻しで聞きたい箇所を探し、デジタルピッチコントロールで速度を調節する機能(公式ヘルプガイド)
  • OM SYSTEM(旧オリンパス)VP-20の[文字起こし]=「再生シーン」の1つ。中身はオートバックスペース3秒と2.0倍速再生(公式取扱説明書)

どちらも、人が耳で聞いて手で打つ作業を助けるモードです。SONYで音声認識をするなら、パソコンのソフトに加えて別売の音声認識ソフトが必要でした。本体の仕事ではありません。

私も当時は、USBで挿して、吸い出して、聞きながら自分で打っていました。今のAIレコーダーが楽なのは、本体が賢くなったからではありません。録った音がひとりでにクラウドまで運ばれて、文字になって返ってくるからです。変わったのは本体の性能ではなく、運び方。

だから電波を切ると、その運び方が止まる。昔のICレコーダーに戻ったような状態になります。録音だけができて、文字にするのは自分の仕事——というところまで。

7. オフラインで困る人と困らない人

自分はどちらなのか。ここで決まります。

困りません(クラウド型でいい人)
  • 会議や面談を録って、あとで文字にすればいい
  • 録る場所と、文字にする場所が別でかまわない
  • 電波のある場所に戻る予定がある

この場合、オフラインは弱点になりません。録音はその場でできて、戻れば約1分で文字になります。

困ります(本体型を検討する人)
  • 録ったその場で、文字を見ながら次の話をしたい
  • 音声を外部に出せない仕事をしている
  • 電波の届かない場所に長くいて、その場で結果が要る

「会議を録って、あとで文字にできればいい」——そう思えるなら、オフラインで困る場面はほとんどありません。私自身、その場で文字が要る場面がないので、クラウド型で困っていません。

電話や対面をとにかく確実に録りたいなら、PLAUD。電波のない場所でも録音は止まらず、戻った時点でまとめて文字になります。

PLAUD公式ストアを見る

電波ゼロでも録音は動く。戻れば約1分で要約まで自動

複数人の会議で「誰が話したか」を日本語で分けたいなら、話者分離に強いNotta Memo。こちらも録音は電波なしで動きます。

Notta Memo を公式サイトで見る

日本語の話者分離に対応した録音AI。オフラインでも録音は可能

道具全体を目的別に見渡したいときは、AI文字起こし・録音AIの全体マップから入ると迷いません。

まとめ

  • AIレコーダーは、電波がなくても録音できる。本体だけで完結する仕事だから
  • スマホへの転送もできる。Bluetoothだけで、実測37.74KB/Sで運べた
  • できないのは文字起こしだけ。3分39秒の音声があっても0文字のまま止まる
  • それは、今回の2機種では文字起こし・要約が本体だけで完結しないから
  • 電波が戻れば約1分で文字になる。オフラインでは溜めておけばいい

「AI搭載」と書かれた製品を選ぶときは、AIが本体だけで動くのか、録った音がネットワークの先まで運ばれて文字になって返るのかを見ればよい。PLAUD NoteとNotta Memoは後者です。USBで挿して吸い出していた頃を知っていると、この楽さには戻れません。

電波が切れた瞬間だけ、その仕組みが目に見えます。0文字のまま止まった画面は、そのサービスがどこまで手元で完結するかを教えてくれます。

よくある質問

AIレコーダーはオフラインでも録音できますか?

できます。PLAUD NoteとNotta Memoを機内モード(Wi-Fiもオフ)で試したところ、どちらも普通に録音できました。この2機種では録音に電波はいりません。一方、文字起こし・要約にはインターネット接続が必要でした。

電波のない場所で録った音声は、後から文字にできますか?

できます。録音は本体とアプリに残り、ネットにつながった時点で処理されます。私の実機では、機内モードを解除してから約1分で要約まで出来上がりました。電波のない場所では溜めておいて大丈夫です。

PLAUDがオフラインだと、どんな表示になりますか?

ファイル一覧は「同期を待機中…」のままになり、要約を実行すると「携帯のネットワーク接続が不安定です。ネットワークを確認して、もう一度お試しください。」と出ます。Notta Memoの場合は「オフラインです。ネットワークを確認してください。」というバナーが出て、文字数が0文字のまま止まります。

オフラインでも文字起こしまでできる機種はありますか?

あります。iFLYTEKのVOITER SR302 Proは、デバイス内で文字起こしが完結すると公式が明記しています(買い切りで約37,950円)。ただしこうした本体処理型は機種が限られます。

Bluetoothがつながっていれば、文字起こしもできますか?

PLAUD NoteとNotta Memoでは、できませんでした。Bluetoothでできるのは、本体からスマホへ音声を運ぶところまでです。文字にする処理にはインターネット接続が必要なため、Bluetoothだけつながっていても文字は出てきません。実際、機内モードのまま転送は毎秒37.74KBで進みましたが、文字起こしは0文字のまま動きませんでした。